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江村です。粗茶が入りました。


by natsuki_emura
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バランスの問題。

今日はやけにいいぞ、とか、どうもいまひとつだな、とか、人それぞれ、「その日のコンディション」があるじゃないですか。これに逆らって、毎日同じ調子で、てきぱき快適に働きましょうといったって、そうもいかないのが実情である。

親鸞の教えでは、調子のいい日も悪い日も「南無阿弥陀仏」と唱えて、一日つとまりましたことを感謝する。ふてくされないのが、いいところ。

画家のモネが、天気が悪いと絵が描けなくなって、あろうことか、描きかけのカンヴァスに当り散らし、ふたつみっつ、ぶっ壊したと、知人に手紙で報告している。調子の悪い日は、誰だってそんなものなのだ。

「まったく、なにが不満でぷりぷりしているのかわからない人間ほど、軽蔑に値するものはない」というようなことを、河盛好蔵というフランス文学者が書いている。そういう不機嫌の理由なんて、どうせたいした理由じゃないそうです。どうも、そうらしい。

モネだったら、1枚ぐらい、悪天候の絵があっても面白かったのに、いつも機嫌のいい絵を描こうと心がけたせいで、カンヴァスがたくさん、ごみになってしまった。

もっとも、「だめだ!」といさぎよく捨てられるのも、能力のうちかなあ。どうしようもないものをでかしてしまったが、なんとかならないか、3日も思いとどまっているのは賢明とはいえない。

ベートーヴェンだって、『戦争交響曲“ウェリントンの勝利”』などという、ベートーヴェン研究家が忘れたがっている曲を書いちゃった。しかもこの場合は、モネのように当り散らしたりせず、廃棄処分にもならず、全部残ってしまった。

そんなわけで、人間の生活は、いいものもだめなものも生産しながら、プラスとマイナスがバランスして毎日過ごしていける次第で、ここはやはり、南無阿弥陀仏を唱えたほうがいいということになります。
by natsuki_emura | 2009-06-29 20:46