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江村です。粗茶が入りました。


by natsuki_emura
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読書の備忘録(2)。

黒井千次の『横断歩道』という小説は、スイミングクラブのある街が舞台になっている。スイミングクラブに入会すれば、きっと美女が泳いでいると思わせるような筋立てになっているので、ぼくも自分の街のスポーツクラブに入って泳ぐことにした。しかし、そこにいたのはメタボのおじさん、おばさんばかりで、泳ぐのが目的といっても、眺めが悪く、どうもやる気が出ない。義理で泳いでいるようなことになってしまった。去年の夏の話です。

吉本隆明が『ひきこもれ』という本を書いて出しているから、あまり社交が上手ではないぼくは、味方ができたような気になり、ひきこもることにした。
森毅が『元気がなくてもええやんか』という本を出しているから、そのまま受け取って、元気がなくてもいいことにした。

宇野千代が『行動することが生きることである』という本を書いているし、笠智衆は晩年(88歳)の写真集『おじいさん』のなかで、「人間なんて、やれるだけのことはしとくもんだ」と語っているから、自分ができるだけの行動はしておくことにした。

リディア・ディヴィスというアメリカの女流作家が書いた『ほとんど記憶のない女』という短編集の中で、いちばん短い作品はわずか2行しかない。長けりゃいいもんじゃないという見本になる。

というように、なんて主体性のない生活なんでしょう。
# by natsuki_emura | 2009-08-11 19:38

読書の備忘録。

読書量はそんなに多くはなく、1年に20冊以内ですが、よほど感動したもの以外は忘れてしまう。

パウロ・コエーリョの『11分間』の読後感は強烈で、去年読んだ長編小説のなかで印象がぬきんでている。その代わり、相対的にとでも言えばいいのか、ほかにも読んだ本はあるが、著者も題名も記憶がおぼろげだ。

一時期、女流作家に凝った。川上弘美『神様』、小川洋子『シュガータイム』、俵万智『トリアングル』。どれもおもしろかった。あらすじがさっぱり思い出せないが、これはドナルド・キーンも言っているように、いちど読んだ小説の筋は忘れてしまうものらしい。内容が豪華でないせいで、かえって印象が際立って記憶に鮮明なのは、山崎ナオコーラという作家です。『人のセックスを笑うな』も『浮世でランチ』も読んだ。

薦められて、クッツェーという南アフリカの作家の長編を2作読んだ。おととしだったかな。

今年は、いままで敬遠していた夏目漱石の、ただし『門』という、わりあい地味な肌合いの小説を手にとって、おもしろく読んだ。しばらく漱石を追いかけるつもりだったが、この作家は頭がよすぎるのか、文体がはっきりしすぎていて、よく読めるために説明的に思えてしまい、イメージを楽しむ邪魔になるという、珍しい経験をした。

安部公房の『密会』。読むのは2度目で、よほど好きでないと2度も読みませんが、やはり、この小説の舞台である大病院の設計をあたまの中で再構築するのは、かなり想像力がないとわけがわからない。だからおもしろいという、不思議な作品ですね。
# by natsuki_emura | 2009-08-06 19:47

コンサート終了。

コンサート『夏の交差点』をやってきました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

ただいま後片付けと休息中で、こっちに手が回りません。
また書きますので、どうぞよろしく。
# by natsuki_emura | 2009-07-26 22:46

滑らかに動いて。

山口百恵という歌手が『しなやかに歌って』という歌を歌っていたことがある。それとこれとは、全然関係がない。

ぼくのコンピュータはウィンドウズですが、コンピュータの世界の開発が進むのはいいけれど、ぼくのように機械に弱い者がトラブルに遭遇すると、不愉快だなあ。
機械の専門家の方々にお願いがある。開発は、よく考えてやってください。

ぼくの例でいうと、Windows Media Player 11 と、Internet Explorer 8 を一緒に入れたら、ネット上の動画サイト、動画ファイルの再生がおかしくなった。XP です。

こーゆーのが、サポート窓口やウェブサイトのヘルプなんかで、それほど面倒がなくて復旧することがあるのは周知の事実ですが、そもそも、その情報のありかを、あっちを見たりこっちに訊いたりして探さなくてはならない現実が、ぼくにはわかりません。なんで、こうも錯綜してるのかがわからないんですよ。

事情のわかっている人は涼しい顔でいられるでしょうが、機械音痴には困った事態です。

動画再生が滑らかに動いてくれないと、要するに困る。
本日は、電話でサポートしてもらって、いちおう事態が落ち着いたから、やれやれと思って、ついでだからブログに書き付けておこうと思った次第で、あまり深い考えはない。

とか言うけれど、音響や映像の機材のトラブルは、テクノロジーの歴史が始まってから、いつだってついてまわっていた。

アナログの時代だって、そのときどきの厄介なトラブルと格闘していたわけだから、デジタルの時代になったからといって、トラブルが全部解消されるもんでもない。

そんなことは承知で、動画や音声はなめらかに動いてもらいたい。
# by natsuki_emura | 2009-07-16 01:23

女性の美しさ。

ウェブサイトには何度か書いたけれど、ぼくはときどき、近所の美術館に行く。

それでねえ、今日も美術館に行って、思ったんですが、われわれ野郎たちが、くそ暑い時節にはだかの女が見たければ、美術館ほどうってつけの場所はないということだ。

違うだろ、海水浴場やプールだろ、と言われそうだが、海水浴場やプールは、乱暴に言えばあたりまえの光景であって、エロティックな感じは希薄だと思う。

今日はマイヨールの裸婦の彫刻を見てきた。
じつは、このマイヨールの裸婦は常設展示で、いつでもみられるし、ブロンズの古典的な彫刻で、挑発的な要素がないから、なんとなく見過ごしていたんですよ。だけど、ちょっと注意してみると、すごくいい体なんです。
いつもはほかの絵を見てるんですが、今日はマイヨールに見入った。いいなー。

こう暑くちゃ、かなわないから、せめて街頭やJRのプラットホームに美女を探し当てて、本人にはさとられないように、そばに立って、つかの間、美女鑑賞がしたい。そのあいだだけでも、暑さが吹っ飛ぶような気がする。
もう、化粧が上手だとか、露出度が高いとかいうような外面的なアピールの仕方ではだめみたいです。
内容のある美女なら、露出なんか関係ない。

ところで、美術館の裸婦の彫刻と、街頭の美女の共通点は、気に入ったからと言って、うちに持って帰れないことである。連れて帰れないことである。

美術館の彫刻はつくりものだし、街頭の美女は赤の他人にすぎない。どれだけ、そこに「美」を見出して発奮したって、「美」を固定したり、定着したりできない。

これは、どうしようもない現実です。
どうしようもないからこそ、女性の美しさがある。そういうことにしておきましょう。
# by natsuki_emura | 2009-07-10 20:15